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1980年(昭和55年)
15年間逃れられないあの幻影
神戸学院大学のQBから投げられたパスが鮮やかな放物線を描き、WRの胸元に入っていった、その時、誰ももう甲南のディフェンスは彼を追うことは出来なかった。 僕は今でも信じている。少なくともあのパスが、彼が一年間を通じて投げたパスの中で最高のパスであった事を。僕がビデオでスカウティングし、チーム全員で何度も見てきたプレイの中に、あれを越えるパスは一投もなかったはずだ。 ゲームは劇的なフィナーレを迎えるはずだった。終了4分前を切ってからの、神院大自陣深くのパントを、3回生阿倉(現監督)の魂身のブロック、意気上がるオフェンスは怒涛の攻撃を続け、ついにはRB岡村の中央突破で逆転TDをあげるに至った。ゲームはそのまま18対14でファイナルを迎えるはずだった。 時間から見ても最後の、神院大オフェンスは静かに幕を開け始めていった。このQBには、パスはない。恐いのはオプションプレー。案の定ランプレーでファーストダウンを奪われ、そして甲南ディフェンスのパーソナルファールでまたファーストダウンを奪われる。我がチームはたまらずに、タイムアウトをとるが、主将中沢の眼がいつもと違う。血走った眼で大野監督の指示も耳に入っていないようだ。少しづつ、そして確実に、流れは神院大の方へ傾いている。 ビッグプレーが欲しい、この流れを断ちきる、ファンブルリカバー、インターセプト。時間はあといくら残っている、様々な思いの中でゲームは再開された。 一体、何プレーめかは憶えていない。憶えているのは、あの鮮やかな放物線を描いていったロングパスがSF岡村の頭を越え、レシーバーの胸にすいこまれていくその瞬間。その瞬間で、僕達の甲南フットボールは止まっている。15年が過ぎた今も。一体いっになれば、僕はあの幻影から逃れられるのだろうか。 ■スタッフ
■4回生メンバー
■春季戦績
■近畿学生リーグ 兵庫ブロック
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